vol.67 子どもにもわかるお金の在り方
これからお金はどうなるの?
三男にこれからのお金がどうなるのかの話をしました。
「デジタル通貨のこと知っているかな?」
「なにそれ?知らな~い。」
「そうだよね。では、少しだけ詳しい話をするね。きみたちが散髪に行くときに、父さんか母さんからQRコードでお金を支払えるようにお兄ちゃんのスマホにお金を送って、それで散髪代金を支払っているのは知っているでしょ?」
「うん、あれ便利だよね!」
「あれはキャッシュレス決済と言って、現金(お札や硬貨)の代わりにQRコードを使って支払う人から受け取る人へ、その代金分の数字が移る仕組みになっているんだよ。もちろんお金なのでその数字はいつでも現金として引き出せるし、受け取った数字(お金)をそのまま別の支払いに使うこともできる。支払う人も受け取る人も全ての取引をあとから確認することもできる便利な手段なんだ。銀行に預けたお金、引き出したお金は通帳に数字が残るけど、そのお金がどのように使われたかは自分で記録しないと、どこで、いつ、いくら使ったかなどわからない。それがキャッシュレス決済だとその全てが自動的に記録されるからお金の管理をする意味でも非常に有効だよ。」
「でも、何に使ったかバレちゃうわけだよね。。。」
「そうそう!これからはきみにもQRコードのキャッシュレス決済を使ってもらおうかな!(笑)」
「なんか、見張られているみたいでイヤだな。」
「じゃあ、もう少し先にそうしてもらうね。そして、実はこのキャッシュレス決済を、この前話した法定通貨(ほうていつうか)、つまり日本では円、アメリカではドル、中国では人民元、ヨーロッパではユーロをデジタル化しようとしていて、これをデジタル通貨と称しているんだ。2020年には世界に先駆けてバハマとカンボジアでデジタル通貨が発行されているし、経済規模が世界第二位の中国でも随分準備が整っていて、国を挙げてその仕組みや使い道、使える範囲をどんどん拡げているんだよ。世界に目を向けると、なんと65ヵ国もの中央銀行がデジタル通貨の導入に動き始めているんだよ。ちなみに中央銀行はそれぞれの国において法定通貨を発行・管理している国の銀行のことだよ。実は日本(日本銀行)も2020年10月に『取り組み方針』を公表して、その後今年2021年実証実験を始めているよ。」
「キャッシュレスとデジタル通貨は違うお金なの?」
「キャッシュレスはその国の法定通貨をQRコード、クレジットカードやプリペイドカードなどを使って決済する手段のことで、デジタル通貨はお金そのもの。紙幣や硬貨にはせず、そのお金の価値をスマホなどの画面と決済技術を使って取引されるお金のことだよ。デジタル通貨は世界中で中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)と呼ばれている。これが使われるようになると、この前にも話したように街にある銀行の役割はますます少なくなるよね。会社から社員に給料を支払う、お店で商品の代金を支払う、会社と会社、会社と人、人と人などの間でデジタル通貨のやりとりできるようになれば、国から見るとお金の管理が格段にしやすくなるし、お金を隠せなくなる。ちょっと難しい話だけど税金もきちんととれるようになるね。」
「ぼくがイヤだと言ったことと同じだね。」
「そうだね。ニセ札やニセ硬貨、犯罪者が不法に稼いだお金を使いにくくすることもできて管理が行き届くようになることも目的のひとつだよ。更に、中国はこれまでのアメリカドルが世界の中心通貨(基軸通貨:きじくつうか)から自国の人民元がその役割を果たせるように企んでいるとも言われているんだよ。軍事力も強力なこの国が力をつけているのは確かだね。日本の未来はきみたちに掛かっているからね、もっと勉強して日本をもっと強くしてね。」
「な~んだ、結局、勉強しなさいって話じゃん!」